【PECS】発語のない自閉症の息子でもコミュニケーションが可能に

息子は発語がない重度知的障害を伴う自閉症です。
指差しも未だに不明瞭で、人差し指で作る指差しがハッキリと出来ません。

しかし、PECS(絵カードコミュニケーションツール)によって明確な意思表示をすることが出来ます。

要求には様々な種類がありますが、息子が今意思表示が出来ることは

「○○が欲しい」という物への要求です。

息子の場合は、このPECSによるコミュニケーションは開始から割と早い段階で習得することが出来ました。(段階があるので最初のレベルですが)

コミュニケーションが可能になること、伝えたいことが伝わることが、本人にとっての小さな成功体験となりストレスも軽減され行動面でも非常に落ち着いたと感じます。

息子の場合は、意思表示をするための手段としてPECSが有効だったということです。

では、PECSとはどんなものか?

息子はどのようにしてそのPECSを使用しているのかについてご紹介していきたいと思います。

目次

【PECS®︎】とは?

PECSとは…絵カード交換式コミュニケーションシステム

アンディ・ボンディ(Ph.D.)とロリ・フロスト(MS.CCC-SLP)によって開発されたコミュニケーション支援システムです。PECSは独特な代替・拡大コミュニケーションシステムで、1985年にアンディ・ボンディ(Ph.D.)とロリ・フロスト(MS. CCC-SLP)によってアメリカで考案され、最初にデラウェア自閉症プログラムの自閉症の未就学の児童に実践されたことから始まりました。それ以降、PECSは世界中、年齢関係なく、様々な障がいを持つ(認知、身体、そしてコミュニケーション)沢山の学習者に実践されてきました。

引用元:ピラミッド教育コンサルタントオブジャパン(株)公式サイト
https://pecs-japan.com/

元々療育の現場では、視覚支援として絵カードや写真をカードを用いることが多いと思うのですが、PECSはただ絵カードを提示したりするものではありません。

本人の自発的な要求を引き出すようにしたり要求されたものを差し出すタイミングなどの手続きがあります。

また、PECSは障害の種類や重軽に関係なく習得出来ると言われています。

段階を踏むことによって、先々2語文や3語文でコミュニケーションが取れるようになるのです。

まだ息子は一つの物を要求する段階ですが、重度知的障害でもこのようなコミュニケーションが可能になるとのことです。

【PECS】が良いのか?発語の練習が良いのか?

『息子の場合』という前提で、私が思うことですので皆さんに当てはまる訳ではありませんので、ご了承下さい。

発語があればそれに越したことはありませんが、自閉症で重度知的障害の子にどんなに発語のトレーニングをしたところで話せるようになる訳ではありません。

そのことに未だに理解されずに苦しんでいる親御さんがたくさんいるのですが、いくら言葉のシャワーを浴びさせても、本をたくさん読んでも

「喋らない子は喋らない」のです。
それは、自閉症が先天性の脳の機能障害だからです。

足が動かせない方に「頑張ったら歩けるようになるよ!」とは言えませんよね。それと同じ。

なので、発語のトレーニングが意味がないと言っている訳ではなく、話せない子に無理に言葉を促すトレーニングをすることよりも、本人が出来るコミュニケーション方法を支援することが大事であると私は思います。

【PECS】発語のない自閉症の息子でもコミュニケーションが可能に

では息子がPECSを習得した経緯と現在PECSによってどのようなコミュニケーションを取っているのか、画像付きでご紹介していきます。

PECSを習得した経緯

息子は1歳11ヶ月〜保育園の年長までリタリコジュニアに通っていました。年長時になっても発語はなくコミュニケーションが難しい状況。

そこでリタリコの先生に「絵カードなどを使ったコミュニケーションが出来るようになって欲しい」と相談したところPECSを案内されたのです。たまたまリタリコの先生にPECSに詳しい先生がいて指導を受けることに。

最初は「絵カード」より「写真カード」が良かった

息子は2歳児3歳児では療育センターにも通っていましたが、そこで使用している「絵カード」では状況理解が困難で有効ではありませんでした。
実物とイラストがリンクしなかったのでしょう。またイラストが何を表しているのか理解が難しかったのかもしれませんね。

絵カードの代わりに使用していたのが「写真カード」
実物の写真を見せたら何となく状況が理解可能に。

ですので、リタリコでPECSを習得する時にも写真カードで訓練をすることになりました。

PECSには独自のメソッドがある

PECSは、ただ絵カードを渡して要求をする訳ではありません。
一番大事なことは「自発的なコミュニケーションを促すこと」

そのためにトレーニングの際にはトレーナーが2名必要で、息子の後ろにもリタリコの先生が後ろに付いて補助しながらの指導となりました。

要求に答える方は、その要求された物をタイミング良く渡さなければなりません。そのために、後半は私も一緒に指導を受けました。

ですので、PECSを習得したい場合はしっかりとセミナーを受けた方が良いです。今はオンラインセミナーが頻回開催されていますので興味のある方はスケジュールをチェックしてみてください。

ピラミッドジャパンPECSセミナー開催スケジュール

ただ、受講料は結構(かなり)お高め。個人で習得するには躊躇してしまうかと思います。まずは概要を知りたいという方にはこのような書籍もありますので参考までに。

私はピラミッドジャパンの無料オンラインセミナーを受講したことがあるのですが、もしかしたらまた開催されるかもしれませんのでこまめに情報をチェックしてみると良いでしょう。

【PECS】発語のない自閉症の息子でもコミュニケーションが可能に・実践編

自宅でPECSトレーニングするにあたり、息子の場合は食べることが大好きだったので、要求対象となる物を「食べ物」中心にすることにしました。

PECSカードとファイルを作成

数種類の写真カードと「ちょうだい」のカードを用意します。

写真カードは、息子が絶対に好きであろうものと、然程興味のないものを混合することによって、欲しいものがより強調されて要求を出しやすくなると思い数種類作成。

ボードは色画用紙をラミネート。「ちょうだい」カードと要求するものを貼り付けて渡すバーもラミネートして作成。

これがかなり面倒( ̄▽ ̄;)面倒でしたがどうにか作りました。

PECSによる実践『要求』

おやつの時間にはこのファイルを使って欲しいものを選んでもらいます。

せっかく欲しいと要求したものがないとPECSの意味がありませんし、癇癪も元にもなりますので必ず在庫の確認をします。家にないものは事前にファイルからカードを外して見えない場所に隠します。

欲しいものを選んで黄色のバーに「ちょうだい」カードと一緒に貼り付けて渡すことで欲しいものを要求。

例えば

するめ ちょうだい

このように、発語なし、指差し不明瞭でもPECSによって明確な意思表示が可能なのです。

【PECS】グッズ作成にあると便利なもの

PECSを実践しようと思っても、まずグッズを作成するのが結構面倒…。
もっと簡単に作れるものがないかと調べたところ
Amazonで『PECSのスターターセット』を発見。
これを買えば良かった…。


PECSスターターキット

次にバージョンアップする時には買ってみようかな。

因みに絵カードを作成する時に使用したものが、エーワンの手作り絵カード用紙。


エーワン 手作り絵カード 24面 正方形 240枚分 51751

カードの厚みはあまりないので更にラミネートして強度アップすると使いやすいですね。

我が家は何かと写真カードを作成する機会があるのでラミネーターを持っています。あると便利。

絵カード作成ならA4対応で充分です。

【PECS】発語のない自閉症の息子でもコミュニケーションが可能に・まとめ

発語のない重度知的障害の自閉症のお子さんや、コミュニケーションが難しいお子さんに有効だと言われているPECS。

お子さんの特性によって様々ではあるかと思いますが、コミュニケーションに課題が場合は一度チャレンジしてみても良いかもしれませんね。

うちの息子には合っているので、引き続きピラミッド教育コンサルタントオブジャパンのセミナーを受講していきたいと思っています。

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